Maika Loubté:音楽制作に限定して言えば、挑戦するリスクって何もない

自分のスタイルとか一貫性も大事だけど、自分の軸を回りながらも、なるべく変化したい

Interview: Masaki Kawamura

東京のエレクトロニック・ミュージックシーンで、その存在感を強め続けるMaika Loubté。幼少期から日本、パリ、香港と、三つの都市を渡り歩いた彼女の音楽は、多文化の影響を受けながらも、無国籍でユニークなサウンドスケープを描き出す。ビンテージアナログシンセサイザーへのこだわりと、繊細かつ大胆なサウンドプロダクションで、彼女は常に新しい音楽の可能性を探求し続けている。Spotifyが立ち上げた音楽におけるジェンダーの公平性促進を目指し、女性の持つパワーや可能性を最大限に引き出していくプログラム「Spotify Equal」のマンスリーアーティストとしてNew York Times Squareの看板を飾ったことや、マツダのCMソング「Show Me How」での注目も記憶に新しい。

今回、8月17日(土)に彼女がヘッドライナーとして出演するSUMMER SOUNDS 15th ANNIVERSARY at The Mint GInzaを前にインタビューする機会を得た。インタビューでは、彼女の音楽的なルーツ、変化と挑戦に満ちたキャリア、そして最新アルバム『mani mani』に込められた想い、SUMMER SOUNDSでのLIVEではどんなLIVEをみせてくれるのかなど深く掘り下げた。読者の皆さんには、彼女の音楽への姿勢と独自の視点を共有し、その魅力を存分に感じ取っていただきたい。

― Maikaさん、今日は、お忙しい中、このインタビューに参加してくださりありがとうございます。

Maika Loubté:

こちらこそありがとうございます。mixmag Japanでは2年ほど前に取材を受けさせていただいて以来ですが、mixmag Japanが活動を一時休止された後、また復活されたと聞いて喜んでいました。mixmagみたいなエレクトロとかクラブカルチャーに特化しているメディアって他に代わりがないっていうか、ちょっとやっぱり替えが効かないっていう風に私個人的に想いがあって、復活嬉しいなって思ってました。

― そう言っていただけると嬉しいです。ちなみにmixmagはどのように知りましたか?

Maika Loubté:

2017年に初めてmixmag Japanでインタビューを受ける前から自然とmixmagのことは知ってました。いつどのように知ったかはハッキリと分からないのですが、雑誌も手に取っていましたし、私のSNSのタイムラインでもmixmagのコンテンツは目に入ってきて、グローバルなイメージが私の中にはあります。2019年にロンドンに行った際は、mixmag UKのオフィスの入っている建物を見に行ったりとかしました。特にmixmag UKに知り合いがいるわけではなかったので、中に入る用事があるわけではなく建物の周りをただウロウロして帰りました、mixmagへの憧れから(笑)。なので、2017年の最初の取材を受けたとき、自分の音楽活動がmixmagに受け入れられたという想いですごく嬉しかったのを覚えています。

― mixmag UKオフィスの周りをウロウロされたエピソードは最高ですね(笑)。このインタビューでMaikaさんのことを知る方もいらっしゃると思いますので、まずは音楽活動をスタートするまでの経歴からお伺いしてもいいですか?

Maika Loubté:

私はピアノを幼少期からやっていて、クラシック音楽を練習する中でポップスなどに触れて。中学生になったころに作曲をスタートしました。中学のクラスの友達で歌が上手な子がいて、その子に歌ってもらうために、遊びながら作曲してました。その子とは中学校の時に引っ越しでお別れして、そのあとは高校で文化祭でバンドをやったりしてました。そのころは音楽を仕事にするっていう意識はなかったんですけど、高校が終わって進路ってなった時に心理学の道に進もうかなって選択肢もありながらも、やっぱり音楽を捨てられなくて2009年20歳くらいの頃からユニットとして音楽活動を行っていました。今のスタイルというかMaika Loubtéとしてステージに立つようになったのは2014年。


地元があるみたいなことへの憧れもあります

©日比谷音楽祭実行委員会

― Maikaさんが、日本、パリ、香港というバックグラウンドがあるのは私も他のインタビュー記事などで拝見していましたが、先ほど引越しがきっかけで中学の頃の友達とお別れしたと仰ってましたが、幼少期は引越しが多い環境だったんですか?

Maika Loubté:

はいそうなんです。日本で生まれて幼児期から3歳くらいまではパリで育ちました。3歳から10歳は日本に戻ってきて、そのあと10歳から15歳までフランスで生活してきました。

― 羨ましい生活ですね!

Maika Loubté:

いやー。でも10歳の時にフランスに戻った時は、第一言語が日本語になっていたので、自分としてはハードモードでした(笑)

― 言語の部分は苦労しますよね?

Maika Loubté:

はい、そうですね。でも今思えば、ハードモードな子供時代が自分にとっては良かったのかなと思っています。ただ一箇所の場所で育って地元があるみたいなことへの憧れもあります。ルーツとか故郷への憧れみたいな。

― ルーツの部分は今の音楽活動にも影響がありますか?

Maika Loubté:

あると思いますね。当時、フランスに行くとアジア人、日本に居てもハーフというどっちつかずな自分を感じていました。音楽作る時にも目指すところが、場所や国を限定しないものを作ろうとする何かが働いている気がします。

― 子供の頃のお友達とはなかなか連絡も取りづらい状況でしたよね?

ティーンエイジャーに差し掛かる直前くらいのタイミングで、父の仕事の都合という、いきなり自分の意思とは関係のない運命で全く違う環境に移動することになって。当時はビデオ通話とかもなかったので、手紙と高い国際電話しか友達とも連絡手段がなかったので、一生の別れというような気分でしたね。

― 音楽的なルーツの話に少し話を戻って伺いたいのですが、幼少期にピアノをされていたということですが、Maikaさんが音楽に興味を持ち始めた原風景について聞いても良いですか?

Maika Loubté:

原風景でいうと、小学校2年生くらいの頃、父親がクラシックの大ファンで、休日になると家で大音量でクラシックが鳴っているという家だったんです。クラシックというと敷居が高い感じが普通すると思うんですけど、父親が家で指揮棒振ってたのを私が見ていたという。特に父親は音楽関係の仕事とかではないんですけど。

― やばいお父さんですね(笑)

Maika Loubté:

やばい人です(笑)。父親は普段は会社員だったけど、心の中では音楽への愛が止まらない感じで。指揮棒を振るときは、近寄りがたい空気が出ていました。クラシック好きな父を横目に、ポップスへの憧れを密かに抱いてポップスを聴き始めたのもこの頃です。

ラジカセに耳をくっつけて、こっそりポップスを聴いて、鳥肌を立てている小学2年生でした

― 具体的にはどんなポップスの曲を聴いていたか覚えていますか?

Maika Loubté:

ポンキッキーズで流れていた「ピピカソ」という曲を聴いていましたね。濱田マリさんがやられていたモダンチョキチョキズの曲です。歌詞がすごく面白くて、ラジカセに耳をくっつけて、こっそり周りには気づかれないように聴いては、鳥肌を立てている小学2年生でした。

― 面白い原風景ですね。あとはどんな曲を聴いてましたか?

Maika Loubté:

90年代だったので宇多田ヒカルさんの「Automatic」やPUFFYの曲も好きで良く聴いていましたね。あと小学生2年生の頃はアニメソングなんかも鳥肌を立てて聴いていました。

― 具体的にはどんなアニメソングですか?

Maika Loubté:

「OVER THE TIMES〜時を越えて」という曲で、大人になってからYouTubeで検索したら出てきたので、聴いてみたんですけど、なんであの時あんなに鳥肌立てて聴いていたんだろうってなりましたね(笑)。かたやバッハとかクラシックも聴いていました。当時はピアノもガチ勢として頑張っていたので、クラシックとポップソングを行ったり来たりして聴いていたのが原風景ですね。

アナログシンセサイザーとの出会い

― Maikaさんの機材の話を少しさせてください。最初はピアノからスタートされたとのことですが、今、音楽活動で使用されているアナログシンセサイザーとはどのように出会いましたか?アナログシンセサイザーの魅力についても聞かせてください。

Maika Loubté:

高校生くらいの時に、スーパーカーの『HIGHVISION』というアルバムを聴いていて、それまではロックよりの音楽が好きだったんですけど、そこから急に電子音とかビートとかにとても惹かれていくようになっていって。高校生から二十歳なる前くらいまではマルチトラックレコーダーに電子ピアノで打ち込みで音楽を作っていました。二十歳になったあたりで実家が引っ越して、その実家の近所にハードオフがあって、そこにアナログシンセサイザーがたくさん売っていたんです。

― 近所のハードオフでアナログシンセサイザーに出会うわけですね?

Maika Loubté:

はい、その実家の近所のハードオフでRoland JUNO-106とかビンテージアナログシンセの名機がサランラップにくるまれて15000円くらいのだいぶ手に取りやすい価格帯で売っていたんです。ちょっとバイトしたら買えるくらいの価格だったのもあって、最初は「これなんだろう?見た目も面白いし、昔の楽器かぁ」って感じで興味を持ち始めて。実際、それでアルバイトしたお金で初めてアナログシンセサイザーを買って、通電して、ちゃんと音も出て「わぁー」って感じで感動して。つまみをいじったりすると自分が予測してない音がで出て、アナログシンセの音からすごくインスピレーションが沸くようになって。遡るとそんな感じです。

― 最初は自宅で鳴らした感じですか?

Maika Loubté:

はい、自宅でヘッドホンを刺して、鳴らしましたね。サイン波がどうとかノコギリ波がどうとか、そういうアナログシンセサイザーに関する知識は何も知らない状態で、ただただ触っていったときに出てくる音が変化していくフィジカルな感じが面白かったですね。低音がボーンと電子音なのに温かくて気持ちがいい感じがあって。

― Maikaさんのライブも電子音なのに温かさを感じますよね?

アナログシンセで最初にインスピレーションを受けた時の「自分が心地良い」って感じるものが土台にあるからだと思いますね。

©日比谷音楽祭実行委員会

ソロで活動し始めて最初の数年間「女性が一人で音楽を作って最終パッケージまで持っていく」みたいなことにあんまり慣れている人が音楽業界に居なかった

― ありがとうございます。2014年に本格的にMaika Loubtéとして音楽活動をスタートされたとのことですが、最初に音楽業界に飛び込んだとき、事前にイメージしていたことと違ったことはありますか?反対に、想像していた以上に楽しかったことやワクワクしていたことはありますか?

Maika Loubté:

音楽業界といっても広くて、アーティストによって見ている景色が全然違うと思うんです。例えば、メジャーレーベルに所属しているかしていないかによっても全く違うと思いますし。私の場合は、インディペンデントで小さいチームで活動しているので、その視点からの発言になると思うんですけど。この体験は10年くらい前のお話ですけど、最初音楽業界に入って想像していたのと違ったというのは、ソロで活動し初めて最初の数年間「女性が一人で音楽を作って最終パッケージまで持っていく」みたいなことにあんまり慣れている人が居なかったように思います。女の子でソロで音楽活動するというとシンガーソングライター的なアーティストの方が多かったので、あんまり「職人気質」みたいなところを出すと敬遠されるみたいな、そんな気配があって。うーん、なんだろう、今もまだ少数派なのかもしれないですけど女性で機材を扱ってミックスをしたりだとかプロデューサー的なことをする女性アーティストが少なくて、なんとなく孤立しちゃう気配みたいなのを感じていましたね。やっぱり女性だということで「本当にできるの?」みたいな気配がそこにはありました。女性差別とまでは言わないですけど、なんかやっぱり人は親しみがあるものとか知ってるものに対しては心はオープンになるので「なんか分からないから様子見よう」みたいな風に自分は見られていたかもしれないなって振り返ると思いますね。自分は特に性別を意識して活動してきたわけではないですし、今もそうなんですけど、被害者意識みたいなものは全くないです(笑)。むしろ楽しいことの方が多いです。Risa Taniguchiさんのように女性のアーティストの活躍もあって道が開かれていっていますよね。私はRisaさんを大尊敬しているので。

― Risa Taniguchiさんは2年前のSUMMER SOUNDSにも出演いただいて、フロアを完全にロックされていました。エレクトロミュージック、クラブミュージック界隈での女性アーティストの活躍は目覚ましいですよね。逆に音楽業界に入ってみて、想像していたよりも良かった点はありますか?

Maika Loubté:

はい。10年前は事務所やレーベルに所属しないと活動できないとか、CDを出せないとか、そういう風じゃなきゃダメだって思っていたんですけど、でもそんなことは全然なくて。インディペンデントでも諦めないで作品を作って最後まで仕上げてちゃんと届ける努力をして、信頼できる人とちゃんとプロダクトしていくと、なんか「おっ」って気づいてもらえる人には気づいてもらえるし、その道のりは長いんですけど「為せば成る」っていう実感が今はあります。

― キャリアの中で一番印象に残っている困難や失敗について教えてもらえますか?これはヤバイなってなった瞬間を教えてほしいです。

Maika Loubté:

失敗は色々あって語り尽くせないんですけど(笑)。ジャケットのアートワーク制作でデザイナーさんに頼むときに、抽象的な言葉を使って「普段の私の作品はこんな感じです」「なんでも大丈夫です」って感じで曖昧な情報の提供の仕方で進めていったら、出来上がってきたものが「あれ?違う・・・」ってなって、、。そこから学んだ教訓は「ムードボードを作るべし!言葉を信用してはならない」っていうことですね(笑)。こだわりがある場合は、ビジュアルを使ったリファレンスってすごく大事なんだと学びました。かなり赤裸々でシビアな内容ですけど(笑)

― ビジュアルの共有は大切ですよね(笑)。「ムードボードを作るべし!」ですね(笑)

Maika Loubté:

あと失敗といえば、生放送でラジオでLIVEをやった際に演奏中に電源が落ちちゃって、、、。もうその場では、笑うしかなかったので「ワハハハ〜、続きはLIVEにきてね〜」ってみたいな感じで乗り切らせてもらったんですけど、本当にあの時は申し訳ない気持ちでいっぱいでした。原因はミキサーの電源にあったんですけど、小さい方のミキサーのアダプターをもう一台の大きい方のミキサーに間違えて刺して使っていて電力が足りなたっかという。途中までは演奏できてたんですけど、バン!って感じで落ちてしまって。ミキサーもそこでご臨終という(笑)

― 「ミキサーご臨終事件」ですね(笑)

Maika Loubté:

はい「ミキサーご臨終事件」からの教訓は「アダプターは絶対に代用するべからず!」ですね(笑)。失敗は本当に色々とあります。そんな失敗の連続ですね。

音楽って人類の歴史を遡って大きく俯瞰で見るとサグラダ・ファミリアみたいな作り途中の何か、そこに自分も一つレンガを置いて去りたいって思うんです

― ありがとうございます。話題は少し変わりますが、音楽活動の目的はズバリなんですか?

Maika Loubté:

小さい頃からクラシック音楽に触れて、いろんな音楽家がいるってことを感じながら大人になってきて、脈々とそれこそ原始時代から人が遺して遺してアップデートしてものが音楽だと思うようになったんですね。大きく俯瞰で見るサグラダ・ファミリアみたいな作り途中の何かのような。それは音楽というものを作り上げるための過去からのバトンとも言えるし、いろんな人が音楽という一つの作品の完成に向けてレンガを置いていくようなデカいものだと思っていて、そこに自分も一つレンガを置いて去りたいって思うんですよね。なので音楽を作ること自体が目的になっています。後世に影響を残したいとか、そこまでのことはおこがましくて思えていないんですけど、自分がいろんな曲を聴いたりとかして、なんかこう響いたりするところがあって、自分も曲を作ったりしているので、デカいサグラダ・ファミリアの一部として自分も参加していたい、そこに存在していたいと思っていますね。あっ、でもサグラダ・ファミリアはもうすぐ完成するって言われているから、例えとしてはどうなんだろう(笑)

― もうサグラダ・ファミリアの工事は終わりましたって言われると困りますね(笑)

Maika Loubté:

目的、うーん、そうですね、進化し続けたいですね!曲作りにおいては。ループはしたくないです。自分のスタイルとか一貫性も大事だけど、ちょっとこう自分の軸を回りながらも、なるべく色んなところに行きたい、変化したいですね、音楽制作においては。ちょっと抽象的な話ですみません。

― いえいえ、めちゃくちゃ分かりやすいですよ。Maikaさんは色々な方とコラボレーションもされてますけど、そういう活動も進化という意味合いがあるのかもしれないですね。他のアーティストの方とのコラボレーションの中で印象的な体験などあれば教えてもらえますか?

Maika Loubté:

今までコラボレーションさせていただいたアーティストの皆さんは、皆さんびっくりするようなクリエイティブが返ってきた方ばっかりなので、全部はお話し仕切れないんですけど。やっぱり良いものが出来上がる時はすんなりいくなぁっていう。Shin Sakiuraさんと『Blue Bird』っていう曲を去年作ったんですけど。トラックをもらって私がそれに対してトップラインを作っていく感じだったんですけど、トラックから呼んでもらうというか、そういう体験は印象的でしたね。コラボは本当に毎回違う体験になりますね。全部が新鮮で毎回成長できるなぁっていう。

― チームで仕事する場合に重要な哲学や原則はありますか?

Maika Loubté:

あんまり、お互いに期待しないみたいな。察してくれてるだろうみたいなことは期待しないみたいな。ちゃんと言わないと伝わらないみたいなこと。ですかね。

心臓があってハートが動いているっていう状態、そのものが音楽

― 最新アルバムの『mani mani』のインスピレーションと創作プロセスについて教えてください。

Maika Loubté:

自分の人生のその時の記録っていう意味で作品を作っているんですけど『mani mani』は時期的には妊娠出産のタイミングで作ったアルバムなんです。アルバムの中に「妊娠した!赤ちゃん素晴らしい!」とかそういうメッセージを強く込めたわけではないんですけど、曲によっては「子供への愛情」というものは無視できないトピックとして入っています。自分は流産を一回経験しているんですけど、その経験があって「生まれてくるのは当たり前じゃない」という風に思うことがあって『mani mani』という作品に繋がっていきました。百人一首の中の古「神のまにまに」という古語からインスピレーションを受けて『mani mani』というタイトルにしたんです。何かコントロールできない事、例えば、生きているとか死んでいるとか、生まれるか生まれないかとか、自分のコントロールできることの外にあるというか、そこに良し悪しはなくて、全部を受け入れて、自分がそこにいるっていうか、心臓があってハートが動いているっていう状態、そのものが音楽というものなのかなという、そういう時間軸の中で自分なりの価値観や死生観をアルバムにした感じの作品です。かなり抽象的ですみません、音楽性の話とかではないので、すみません、ちゃんと伝わりますか?(笑)。かなりアブストラクトですみません。

― ちゃんと伝わっています。すごく深いお話ですね。ありがとうございます。

作品を作る場合は「何をやってもいい」という前提で作り始める

― リニューアル後のmixmag Japanのテーマは「変化と挑戦」なんですが、Maikaさんは新しいサウンドやスタイルにどんどん挑戦して変わっていっていると思うのですが、挑戦する勇気はどこからえていますか?時に変化することって怖いなって感じることも僕なんかはあるんですけど。

Maika Loubté:

あ〜、音楽制作や音源を作ることに限定して言えば、挑戦するリスクって何もないなって思っているんですよ自分は。ものすごいしょうもないデモ音源を作ったところで、別に誰にも迷惑をかけないですし(笑)。一人でやるからこそかもしれないですけど、それは(笑)。なんかいきなり意味不明なことをやっても別に誰も傷つかないし(笑)

― やばいですね(笑)

Maika Loubté:

逆にこうでなきゃっていうことが音楽はナシでもOKな世界だと思っています。

― たしかに、そうですね。

Maika Loubté:

逆にバンドだったらメンバーチェンジとか活動形態を変えようとするときも、変化は具体的で身に迫るトピックだと思うんですけど、私の場合は自分の作品を作る場合は「何をやってもいい」という前提で作り始めるので。作っていく中で、以前の自分はこの音が良いと思わなかったものが、今の自分はシンパシーを感じたりする、やっぱり作ることで自分自身も癒されながら作ったりとか、心躍ったりとかしたものを、なるべく聴く人にも渡したいっていう。

― なるほどですね。

Maika Loubté:

これは、良い考え方か分からないですけど、ニーズにあったものを届けるのも大事なことだと思うんですけど、ある意味。こういうものが求められているだろうっていうことに応えてあげるのも愛だけど、でも、なんかこう、そこの手は離さないで、もう片方の手で意味不明な「えっ?そっち?」みたいなものとかも共存させて出していくっていう、同じものを繰り返すのってあんまり自分の場合は違って、毎回白紙のつもりでやっています。それが良いかどうかはわからないんですけど。

― 興味深いお話しありがとうございます。突拍子もない質問なんですけど、今会いたい人や話してみたい人は誰ですか?

Maika Loubté:

え〜、、、誰だろう、、?死んじゃったお婆ちゃんですかね。あっでも、そういう話じゃないか。ここで普通ここで憧れのプロデューサーとかミュージシャンの名前を答えるべきですよね?(笑)生きている人でいうと、たくさん会いたい方はいるんですけど、引っ込み思案なので、いざとなると口に出せないんですよね(笑)。こっそりDMするしかないですね。

― 先ほどのmixmag UKのオフィスの建物の前まで行ったってお話とも似ていますね(笑)

Maika Loubté:

はい。イギリスまで行って建物の入り口の近くあたりまで行くっていう(笑)フフフフ。

― 24時間ってあっという間ですが、Maikaさんが1日を最大限に生かすための秘訣やルーティーンはありますか?

Maika Loubté:

今は2歳になる子供もいるので、やることがいっぱいあるので、怠けない、やる気があるとかないとか問題ではなくて、とにかく手を動かす。働き者ですね(笑)。あと早く寝る(笑)。

― 時間を巻き戻せるマジックがあったら何に使いますか?

Maika Loubté:

えーーー、良いのかな巻き戻しちゃって?全てがぶっ壊れそうなので巻き戻さないです。

― 面白い答えですね。

Maika Loubté:

質問も予想外で面白いですよ(笑)

改めてクオンタイズされた世界って最高だなって。SUMMER SOUNDSではポチッっとやったら前に進む、感情と切り離して没頭していく世界をLIVEで作り出していく。

― 8/17にThe Mint Ginzaで開催されるSUMMER SOUNDS 15th ANNIVERSARYにヘッドライナーでの出演が決まっていますが、このLIVEに向けて何か特別な思いはありますか?

Maika Loubté:

はいありますね。ここ最近、弾き語りのライブを何度かやっているのですが、改めてクオンタイズされた世界って最高だなって思うんですね。自分の感情の揺れとか一切いらない、ピッと押したらバーンと進んでくれるというクラブミュージック然りエレクトロの世界がやっぱり私にとって心の拠り所になっていたんだなと思って。スイッチ押したらすすんでくれる、スタートしたら前に進むだけって素晴らしいって感じて。ここ最近、爆音でテクノや四つ打ちを聴いて「なんやこれ!テクノって素晴らしい」って癒されている日々なんです。またそういう場所に戻れるというのが心から嬉しくて。サポートの佐藤公俊さんと今までやってきた編成で最高のものをお届けするつもりでいるんですけど、ポチッっとやったら前に進む、感情と切り離して没頭していく世界をLIVEで作り出して行けたらと思っています。他のDJさんも含めて、SUMMER SOUNDSはそういう没頭できる音で溢れた素敵な1日になると思うので、自分もバッチリお届けできたらなと思います。

― 今回のSUMMER SOUNDSではサンセットの時間帯での出演になりますが、サンセットライブに向けてお客さんが期待して良いことはありますか?

Maika Loubté:

はい、一曲やりたい曲がありまして、とあるCMで歌わせていただいた曲で、自分も大好きな曲のカバーなんですけど、ネオレゲエみたいなカバーを一から作り直しまして、その曲をサンセットの時間帯にあわせてやりたいなと。過去に一回だけラジオでお披露目させていただいたことはあるんですけど、それ以降はLIVEとかではやったことがなくて。

― それは、すごく特別ですね。曲名はここでは伏せておきますけど、個人的には震えますね

Maika Loubté:

世代的に知っているお客さんもいらっしゃるだろうし、知らなくてもあの曲はすごく良いので、当日は会場にいる皆さんと一緒に震えたいなと(笑)。

― 近日のプロジェクトについて何かあれば教えてください。

Maika Loubté:

はい、今、コラボアルバムのために、いろんな方々といろんな音楽を制作しているので、楽しみにしててください。告知できるほど具体的ではないんですけど、今はその制作をしています。今年は年末まで過去に行ったことのない地方でのライブも入っていて、いろんなところでライブするのが本当に楽しみです。

ずーっとちっちゃい声で自分自身に囁かれるようなことがあるとすれば、多分それはやったほうがいいかもしれない

― さらに未来の話ですが、音楽活動の未来に対する目標やビジョンは何ですか?

Maika Loubté:

自分の音楽活動もそうですけど、挑戦したいことはありすぎて。映画音楽をやってみたいとか、ゲーム音楽をやってみたいとか、もともと職人気質な裏方気質があるので、映像作品とかに貢献できる機会があるといいなぁって思います。普段は一人で音楽制作しているのもありますけど、ミュージカルとか大勢で作るものへの憧れもあります。あまり広げすぎると「この人何がしたいの?」って思われそうですけど(笑)。ビジョンねぇー、具体的な目標もあるんですけど、そこは秘密で(笑)。

― 挑戦する時に聴く音楽とかってあったりしますか?

Maika Loubté:

挑戦する時に聴く音楽は、自分の場合はあんまりないかもしれないですね。自分の場合は、挑戦しようという時は、たいてい音楽作りとか、演奏してみようとかなので、気分を上げるために音楽を聴くというような聴き方をあんまりしないですね。あっ!でもこのあいだ人に会おうという時に、すごいお腹が痛くなっちゃって、新宿で。昼にインドカレー食べた日だったんですけど。「やばい!」ってなって、その時にたまたまairpodsを耳にさしてたので、マネスキンの『ZITTI E BUONI』を聴きました。これは挑戦でしたね、お腹が痛いのに人に会うっていう(笑)

― これは会いたくない人だったからお腹痛くなっちゃった感じですか?

Maika Loubté:

いや、めちゃくちゃ会いたい人だったんですよ、なのにお腹痛くなってしまって、この曲に励まされました(笑)

― 最後にmixmag Japanの読者の皆さんには挑戦したいけどなかなか一歩踏み出せないという方も多くいると思います。何かメッセージがあればお願いします

Maika Loubté:

なんかこう、ずーっとちっちゃい声で自分自身に囁かれるようなことがあるとすれば、多分それはやったほうがいいかもしれないなって思います。直感ってちーちゃい声で自分の中で言われ続けてる感じが私の場合はあって、人生一度きりだから、やったらいいんじゃない?って思いますね。

Event Information

SUMMER SOUNDS 15th Year Anniversary

日時:8月17日(土) 11:00〜24:00

場所:The Mint Ginza | Rooftop Cafe & Bar

住所:〒104-0061 東京都中央区銀座5丁目2−1 11階/ルーフトップ 東急プラザ銀座

Google Map:https://g.co/kgs/fVWic93

Featuring:

Maika Loubté (Live)

Sapphire Slows

Supported by:

Clarkee // DDHOTD // DJason // Jack (Japanese Football) // Masaki Kawamura // PUCCI // Ren Yokoi // Yosuke Nakagawa

Live Shows:

Capture Tokyo // Kiki Cat & Amy // Fumi // Marika // skins company // Wataru Shindo & Edamame

Ticket:

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