KOKKE House: デザインにおける家族のレガシーを拡張する

Romy Kokkeが語る、夫のDaniel Beasleyと共に両親の技術を称えるためにデザインキュレーションビジネスを立ち上げた方法

Interview: Kaia Herzog

提供: Milou van Hoof

──KOKKE Houseとあなたたちの共同作業がどのように始まったのか教えてください。

Daan (Daniel)と私は15歳の時から一緒にいて、今年で37歳になりました。

これまで私達が住んだすべての家は、両親のアート作品と家具で飾られてきました。最初に一緒に住んだ本当の家は、アムステルダムの中心部にあるハウスボートという船を基礎として作った住居で、わずか30平方メートルでした。小さかったですが、私たちはそれを愛していました。まるで街全体が自分たちのもののように感じられたのです。

その後、同じ場所に75平方メートルの大きなハウスボートを建てました。広いスペースのおかげで、さらに多くの両親の作品を取り入れることができ、新しい環境でそれらの作品がどのように変わるかを見るのは驚きでした。

息子が生まれた後、私たちはさらに成長するためのスペース、特に屋外のスペースを求めました。Daanも私も、対岸の同じ湖のハウスボートで生まれました。その地域はアーネムのDe Rosandepolderと呼ばれ、自然に囲まれていました。私たちは子供たちに同様の環境で育って欲しいと考え、アムステルダムから20分の場所にある100平方メートルのハウスボートがある土地を見つけました。

美しいアートや家具に囲まれて育つのは私たちにとって自然なことでした。友人の多くも母の作品や時には父の家具を持っていました。これがどれほどユニークであるかは、私たちが最新の家に引っ越し、友人たちが同じような家具をどこで手に入れることができるのかと尋ね始めるまで気づきませんでした。

この頃、大きなプロジェクトに取り組んでいて、インテリアデザインの一部を探していましたが、自分に響くものが見つからず苦労していました。そこで、父のオフィスで未発表のデザインの宝庫を発見しました。これをきっかけに、このコレクションを活用する必要があると感じました。こうしてKOKKE Houseが誕生しました。父のシンプルなデザインと母の表現力豊かなアートが私の中で一つになり、私の中の美学を形作りました。

提供: Walter Pierre

──日々の業務やタスクについて教えてください。また、それらをどのように協力して進めているのかも教えてください。



私たちは長い間一緒にいるので、KOKKE Houseでの共同作業は自然なことです。それぞれに担当の業務があるにもかかわらず、お互いの役割をよく理解しています。

私はデザインを担当し、Daanは数字と販売を管理しています。お互いのスキルを補完し合いながらも、干渉しすぎないようにしています。このため、独立して仕事を進めながらも常に一致団結していることができます。お互いへの信頼が、業務に集中し生産性を高めるのに役立っています。どちらかがアドバイスや新しい視点が必要な時には、お互いに頼ることができ、この協力関係のおかげで、無駄な会議や議論を避けながら多くのことを達成することができたと考えます。

──KOKKE Houseの初期段階で遭遇したチャレンジについて教えてください。それらをどのように乗り越えましたか?



私たちの最大の課題の一つは、自分たちのストーリーを共有することでした。私の家族と私はいつもプライベートで控えめであり、私たちの生活を公にする必要性を感じたことはありませんでした。

KOKKE Houseに関するすべてが私たちにとっては当たり前のことだったため、それを詳しく話すのは過剰に感じました。これが最初期KOKKE Houseのプロモーションをどう行うかという部分で物事を難しくしていました。

この課題を克服するためには、マインドセットを変える必要がありました。私たちの作品がユニークであり、人々がそれについてもっと知りたいと思うかもしれないと気づいたのです。

デザインは私のものでなく両親のものであったため、彼らの技術について話すことが最も自然な導入であったと思います。私たちのストーリーをより効果的に伝えるために、PRスペシャリストのKimを迎えました。彼女のストーリーテリングの才能のおかげで、多くの扉が開かれました。

──KOKKE Houseの運営とコレクションのキュレーションのバランスをどのように取っていますか?

私たちはアプローチをできるだけ自然なものに保ち、各プロジェクトの需要が製品の制作を導くようにしています。そのため、単にコレクションにアイテムを追加するためだけに製造するのではなく、真のニーズや機会に応える形で制作しています。

最近の例を挙げるとすれば、アムステルダムの中心部にあるHotel De L'Europeの2部屋のスイートを完成させました。このホテルは元々ハイネケン社のCEOであった、Freddie Heinekenが妻のために購入したものです。

既存のコレクションからの作品やアーカイブデザインを刷新し、新しいデザインを取り入れてインテリアをデザインしました。このようなプロジェクトで最もポジティブなフィードバックや関心を集めた作品は、しばしば恒久的なコレクションに取り入れられたり、限定版として追加されたりします。このバランスの取れたアプローチにより、私たちの仕事は常に新鮮でありながら、ルーツに忠実でいられます。

── KOKKE Houseでのクリエイティブプロセスについて教えてください。家族の既存のデザインからどのようにインスピレーションを得ていますか?


私にとって、KOKKE Houseを作ることはキャンディーショップにいるようなもので心躍るものです。自分が好きなものを選びながら、家族、職人、才能あるアーティストと協力して各製品を開発します。父はシンプルさ、機能性、エレガンスを特徴とする独自のデザイン哲学を持っており、一方、母の作品は表現力と温かみを加えています。両親の作品からのインスピレーションは自然に私に流れ込み、私はその両者のスタイルを融合させています。


新しいプロジェクトに取り組む際には、父のオリジナルデザインをインスピレーションの源としています。現代のオーディエンスに響く形でこれらのデザインの方向性を決定します。私のクリエイティブプロセスはこれらのデザインのレガシーに根ざしていますが、そこに自分のタッチを加えます。私の役割をキュレーターとして考え、KOKKE Houseのエッセンスがすべての作品に反映されるようにしながら、新しい可能性を探求し、限界を押し広げています。


── 忙しい経営者としてのスケジュールの中で、どのように創造力を維持し、インスピレーションを得続けていますか?


私自身がチームを小規模に保とうとしているため、これは簡単ではありません。関わる人が多ければ多いほど、複雑さや気を散らす要素が増えることがあります。そのため、信頼できる少人数のグループで仕事をすることを選んでいます。これにより、ビジョンを明確に保ち、業務を効率的に進めることができます。また、社内とは別にアーティストの友人たちのサークルがあり、彼らとの会話が常に新しいアイデアの源になっています。

KOKKE Houseをパートナーと一緒に運営する利点の一つは、仕事のために一緒に旅行できることです。仕事で都市を訪れるときや、子供たちが両親の元にいるときには、地元のアート展や博物館を探訪する時間を作ります。それでも、私にとっては都市自体が最もインスピレーションを与えてくれます。こうした旅行は創造力を高めるのに役立ちます。

提供: Kasia Gatkowska


──日本での時間はあなたやあなたのビジョンにどのように影響を与えましたか?そして訪問時の好きな思い出があれば教えて下さい。

2007年に叔母が鎌倉に引っ越して以来、日本を訪れるようになりました。それ以来、ほぼ半年ごとに日本を訪れています。私たちにとって、日本の秋は一年で最も素晴らしい時期です。車を借りて箱根や日光の美しい森に出かけ、弁当とビールを持ってピクニックを楽しみ、森林浴をしたり、山の足湯に浸かったりするのが大好きです。日本での時間は私たちに活力とインスピレーションを与え、仕事に戻ったときにそれを持ち帰ります。

息子のValentijnが生後5か月の時に初めて日本に連れて行きました。彼の目を通して日本を体験することは魔法のようであり、私たちの文化への愛情をさらに深めました。各旅行の後、オランダに戻って数か月経つとまた日本に対してホームシックになってしまい、次の訪問を計画し始めるのです。

COVID-19が発生し、日本が世界から閉ざされた時期は、私たちにとって非常に辛いものでした。今では学校に通う子供が二人いるため、長期の海外旅行に出る柔軟性がありません。4年間も日本に行けておらず、心が痛みます。それでも親友が日本人で、日本の食べ物やお菓子を送ってくれるので、それが心の支えになっています。

また、KOKKE Houseが将来的に日本への訪問を増やすためのエキサイティングなプロジェクトにも取り組んでいます。日本への展開は常に私たちの大きな目標の一つでした。これにより、KOKKE Houseを成功させたいというモチベーションがさらに高まります。仕事と楽しみを組み合わせることが大好きで、私たちのブランドを日本に展開することは私たちにとって大きな意味を持ちます。


──音楽はあなたの生活でどのような役割を果たしていますか?音楽を聴きながらどのような活動をすることが多いですか?

音楽はDaanの生活の中心です。15歳の時からKOKKE Houseを始める前まで、彼はプロデューサーやDJとして働いていました。音楽は彼のアイデンティティの核を成しています。現在、KOKKE Houseではキャンペーンのために自分たちの音楽を作成しています。こうして雰囲気を設定し、ビジュアルと補完し合い、伝えたい感情に合ったサウンドを確保しています。


音楽は私たちが行うほとんどすべてのことに組み込まれています。選ぶジャンルやプレイリストは、現在の気分や入りたい気分によって変えています。エネルギーを高めたり、集中力を高めたり、落ち着きをもたらしたりするツールとしての使い方です。プロジェクトに取り組む時、自宅でリラックスしている時、旅行中など、常にサウンドトラックが私たちの生活の中で流れています。

──KOKKE Houseの将来のエキサイティングなプロジェクトについて教えてください。

今年の終わりに、新しいコレクション「Pootjes!」を発表します。このデザインの一つが、アムステルダムの国立美術館の永久コレクションに選ばれました。今年4月のミラノデザインウィークで「Pootjes!」をお披露目する機会があり、反応は非常にポジティブでした。

また、アムステルダム近郊に大規模なKOKKE Houseスペースを開発するエキサイティングなプロジェクトにも取り組んでいます。残念ながら、詳細はまだ共有できませんが、特別なものになることは間違いありません。

さらに、父と私はいくつかのプロジェクトで協力しています。現在、ヴィラを建設・デザインしており、インテリアからエクステリアまで全てを担当しています。KOKKE Houseのシグネチャースタイルを全ての面に取り入れることに興奮しています。

アムステルダムの国立美術館の永久コレクションに追加されたKOKKE Houseの象徴的な椅子、Pootjes!とF_10。


──KOKKE Houseでの仕事を通じて他の人々にどのようなインスピレーションを与えたいですか?インテリアデザインの分野を志望する若い世代にどんなアドバイスをしますか?

私のアドバイスは、あなたの人生に影響を与える他者の影響が、あなた自身のデザインをどのように強化できるかを考えることです。

私にとっては、父のデザインビジョンからインスピレーションを得ています。彼のデザインアプローチは私に常に成長を促してくれます。

彼が載るインタビューを見るたびに、彼の洞察は私を驚かせ、啓発し続けています。私が言っていることを明確にするためには、TCスツールについて制作した映画を見ると役立つかもしれません。それは彼のデザインに対するユニークな視点を垣間見ることができます。すでに成功を収めたデザインに新しい命を吹き込む挑戦から多くを学べる可能性があると思います。

KOKKE Houseの象徴的なスツールの一つであるTCスツールは、ニューヨーク近代美術館の永久コレクションの一部です。動画ではこのデザインがどのようにして作られたかが物語られています。 提供: OKA Foundation.

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