ブラジル出身のアーティスト・Diego Garciaは、その身体に2つのアイデンティティを秘めている。一方は男性的かつメロディックな作家性を持つProjekt Gestalten、他方は女性的かつ内省的な性格のThe Princess of Death。

Diegoは、90年代のポイント・アンド・クリックのアドベンチャーゲーム「Gabriel Knight 2 – The Beast Within」からヒントを得て、2つのジェンダーを自在に行き来するプロジェクトに思い至った。このゲームでは、妻のジェーン・ジェンセンがストーリーを書き、夫のロバート・ホームズがサウンドトラックを担当している。まさしくひとつの作品が2つのジェンダー観によって作られたというわけだ。本作には直接関わっていないが、ホームズ氏とはメールでやり取りをしており、このプロジェクトに賛同しているという。

ゲームと同じように、Diegoは女性的なものと男性的なものを交互に使い分けながら、アルバム『The Beast Within』を完成させた。Projekt Gestaltenはよりクラブライクで激しいテクノチューンを生み出し、The Princess of Deathはアンビエントで実験的なアプローチを試みている。そしてアルバムの最後を飾る「Requiem For The Swan King」で2つのアイデンティティは結合し、荘厳なカオスが爆誕する。

『The Beast Within』は2月25日に自身のレーベル〈VRAAA Records〉からリリース。ベルリンで最も性的なパーティ「Pornceptual」に出演した際、その模様を配信していたBoiler Roomの映像に全編モザイクをかけられた事態を覚えているだろうか？Diegoに限らず、Radio SlaveやVolvoxのDJパフォーマンスも容赦なくブラインドされている。Diego Garciaこそが、このセクシュアルなエネルギーの中核である。

■ Projekt Gestalten + The Princess of Death 『The Beast Within』
Release Date: 2022.02.25
Label: VRAAA Records
Tracklist:
A1 / 1. Projekt Gestalten – The Beast Within
A2 / 2. The Princess of Death – Trance
B1 / 3. Projekt Gestalten – Trial and Execution of the Black Wolf
B2 / 4. The Princess of Death – When The Saints Go Marching In
C1 / 5. Projekt Gestalten – Prey to Be Undone
C2 / 6. The Princess of Death – The Shrine Revelation
D1 / 7. Projekt Gestalten – The Curse of Engelhart
D2 / 8. The Princess of Death – Curse, Shattered
D3 / 9. Projekt Gestalten + The Princess of Death – Requiem For The Swan King