VivaOla:「今のシーンに必要なのは結合だと思う」

多文化的背景を持つアーティスト、VivaOlaが描くTOKYO R&Bシーンの現在と未来。その音楽的ルーツ、シーンの課題、そして次なる挑戦とは?

Interview:Tee Kame

近年、海外からも注目を集めている日本のオルタナティブR&Bシーン。その中でも特にジャズテイストやローファイ、多国籍なアプローチでシーンを牽引しているのがVivaOla。彼が持っている多文化的背景により、独自の存在感を放ちシーン全体に大きな影響を与えています。今回はそんなVivaOlaに、今後この音楽的クロスオーバーがどのように日本の音楽の発展に影響を与えるのか、彼の視点を通してシーンを深掘りしたインタヴューを行いました。

―――VivaOlaから見るTOKYOの音楽シーンのイメージは?

今ってシーンが分断されているイメージがあって。

R&Bというジャンルだと、細かくジャンルによって活動している人はたくさんいるんだけど、ブレークスルーしているのが武道館でライブできたSIRUPというアーティストだけで。

その前のR&Bって、俺通っていないけど、日本だと久保田利伸とか、R&Bって公言してないけど平井堅とか、クリスハートとか、そういう系なのかな。

それ以降はSIRUPとかのSoulflexがいて、彼らが俺らのちょうど10つ上で88年生まれ付近の人達。俺ら98年生まれは宇多田ヒカルとかを聞いていた世代だけど、俺自身は家族が韓国人だからBoAとか聞いていて、そっちの方が馴染み深い。

―――当時そういう音楽をR&Bって意識して聞いてた?

聞いてなかったです。それこそ昔聞いていたJPOPで、今思ったらR&Bチックだなって思ったのは、AIとか。

ジャンルって意識して聞き始めたのは高校、大学生の時じゃないかな。

中高生の時はそんなジャンルとか意識してないし、今の子もそうだと思う。でも大学生とかになると自分でライブに行けたりするから、そういうので意識じゃないけど、何か自分の好きな音楽は何なんだろうっていう考えが出てくる。

アーティスト名ではなくて、この人の音楽はなんだろうと。

自分はジャズとか、ロックとかも好きだったんだけど、一つのジャンルを知ることで他のジャンルを理解することもできたかな、これがロックだったらじゃあこれはR&Bか、みたいな。

TOKYOのシーンはジャンルだと色々混ざっているけど、自分が近いのがKenya Fujita。

彼はBleecker Chromeっていうユニットもやっていて、ZEROTOKYOやCIRCUS みたいなクラブにたくさん出てて、HIPHOPとは違うけどヘッズたちに刺さるR&Bをやってる。

―――自分達の音楽のベンチマークは?

自分とかKenya、aimiというアーティストとかは、USのR&Bにめちゃ影響を受けてて。

俺が高校生の時に特に好きだったのはBryson Tillerとかで、当時はSoundCloudの存在が強かった。他にはJAY-Zとかも聞いていたけどそれは別口で聞いてて、あとTory LanezとかTrey Songzとかああいう系。

カニエウエストも元々好きだけど、アルバムで何が好きかと言われたら、808s&HeartbreakというアルバムのColdest Winterとかをめちゃ聞いてた。あとはドレイクとか。

トロントサウンドって勝手に読んでいるのがあって、2016年だとWeekendが出てきて、Drakeがちょっとメロウになったり、ジャスティンビーバーがいたり、カナダ人がシーンにおいて存在感が強かったと思う。

Daniel Caesarも2016年くらいからきてる。

そう考えると、北アメリカの音楽が自分にとって影響が大きかった。

あと、2016年でいうともう一つ大きかったイベントは、K-R&Bがめちゃ発達した年で、代表的なのはCrushと、昔からいたZion.Tとその時新しく出た(DEAN)っていうアーティスト。その人たちのサウンドに俺はすごく影響を受けてて。彼らは絶対にシーンに爪痕を残してるし、そんな彼らは2010年付近のUSの音楽を聴いて曲を作ってた。例えばクリスブラウンとか、アッシャーとか。

―――今回韓国のJimmyと一緒に曲を出しましたが、どういった経緯だったんですか

以前頻繁にコラボしていた時期があって、友達にフューチャリングビッチって呼ばれてた笑。

そんなフィーチャリングビッチ時代に一番一緒にやって楽しかったのが、Jimmyだったので今回一緒曲を作ろうという話になって。

日本人とも色々フィーチャリングやって、それはそれで全部良かったけど、意識はそんなにしてないけど親が韓国人というのもあって、無意識にインターナショナル感が出ちゃう。例えばみんな実家のお吸い物おいしいねって言っているところ、うちはチゲだしなって笑

やっぱりそういった感覚的なところでも海外のアーティストとのフィーチャリングの方が合っているのかも。

―――インターナショナル感でいうと、VivaOlaの周りはインターナショナルなアーティストが多いと思うのだけど、自分にとってどう影響がある?

一つ言いたいのは、今のシーンに必要なのは分断ではなくて、結合だと思う。HIPHOPを見習うべきで、歪みあっているようだけど根ではみんないいやつのような気がしてて。彼らは全部吸収して、全部をプラスにしているけど、TOKYOって意外と無関心を装う習慣があると思っていて。お互いにスルーしないでアクティブに認知しあって、シーンとして上がった方がいいかなと思う。WOWとかReinaとか気が合うんだけど、みんなインター出身で、そういう共通点見出して仲良くなっているし、少しでもシーンの間で共通点見出すべきなんじゃないかな。

日本だと英語話せない抵抗感があるっていうのは、昔よりは良くなっているっていうのを聞くし、年齢上の人が昔より全然いいよ、っていうけど俺はそう思ってない。実際に海外に言って感じるべきだし、コミュニケーションをもっと上手くなるべきだと思う。

―――今後自分の音楽はどの方向に向かっていきますか?

シンプルに自分が聴いてきた音楽のカラーを出していきたい。今現行で流行ってるサウンド、例えばちょっと前に自分の周りでセクシードリルがめちゃ流行って、セクシードリルみたいな音楽聴いて、俺らの時代の好きだったトラップソウルとの共通点、相違点を見つけて、そんな中で面白い音楽を作れたらね、っていうのは話してて、そういう音楽の作り方は今後もやっていきたいです。


VivaOla

2020年6月にリリースしたミニアルバム「STRANDED」はJ-WAVE TOKYO HOT100にてトップ10入りを果たし、Spotifyでは「New Music Wednesday」「Soul Music Japan」「Edge!」「J-Pop 新幹線」などのカバーアーティストに選出され、リリースごとに話題を呼んでいる。


これまでに、SIRUP、Thomas Ng、ZIN、Kenya Fujita、reinaといったR&Bシーン第一線のアーティスト達と共演し、Soulectionの一員であるグラミーノミネートアーティストであるStarRoとも制作し、2023年にはテキサス州オースティンのSXSWへの出演も果たしている。


2024年春には待望の3rd アルバムをリリース予定。


In June 2020, VivaOla’s mini-album "STRANDED," released independently, reached the top 10s on J-WAVE TOKYO HOT100, gained recognition on Spotify as a featured artist on playlists including: New Music Wednesday, Soul Music Japan, Edge!, and J-Pop Shinkansen.


Over the years, he has collaborated with prominent figures within the R&B genre, including SIRUP, Thomas Ng, ZIN, Kenya Fujita, and reina. He has also worked with starRo, a Grammy-nominated artist and member of Soulection.


In 2023, he has made his first performance at SXSW in Austin, Texas.

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